自動車のシートベルト・エアバックのメーカーであるタカタが昨日民事再生

を申請した。

 

   タカタ、民事再生法適用を申請 負債総額3800億円

   迷走タカタ、民事再生法を申請した事情

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 本ブログでは一貫してタカタのみに責任が有るのではないと主張してきた。

 

 エアバック不具合によるリコール騒動に思う  No1319

 ダブルスタンダード  安全の代償 果たしてそれは見合うのか? No1350

 この手の記事が出るまで2年かかるのが日本の現状  No2070

 

最後の記事で 昨年12月になってようやくマスコミでもタカタのみの責任では

無く自動車業界として。(先月出た記事は後で述べる)の記事が出たのだが。

 

タカタの倒産に関しては小生やむなしと思う。確かにタカタの製造した装置

の不具合で人が死んでいる。また、タカタにはタカタの主張があるだろうが

問題が発覚した際の対応(危機管理)についてはかなりまずかった。特に、

経営陣が表に出てくるのが遅く、マスコミ等のバッシングをもろに受けた事

は大いなるマイナスイメージである。

 (アメリカ政府の追求もその点が大きいとされる)

専門家に聞いてみた。

 

 予見可能性

   予見は可能であった。しかし以前は致命的事故で生命が助かる確率

   が上がるのであれば全数動作確認が出来ない以上多少のエラーは

   許容されていた。と言う時代が有った。

 防止する手立て

   エアバックへの信頼性要求が厳しくなった時点(遅くとも2008年)には

   古いエアバックを回収し交換すべきでは無かっただろうか???特に

   インフレーターに使用する火薬については再吟味するすべきであった。

 

とのことでした。

その意味では タカタの責任は軽くはない。

 

 しかしながら自動車メーカーの責任についてもっとマスコミは追求すべき

であると言う事に代わりはない。

 (上記 専門家も消費者の観点から見れば 当然一義的な賠償責任は

  自動車メーカーに有る その上でエアバックメーカーと協議しその賠償

  を要求する権利があるに過ぎないとの見解であった)

 

 

不可解なことが有る。記事冒頭2番めの東洋経済の報道であるが引用すると

 

 タカタの民事再生法申請を受け、ホンダ、日産自動車、三菱自動車など

 取引先の自動車メーカー各社は26日、立て替えているリコール費用の

 「大部分が取り立て不能となる見込み」と発表した。リコール関連費用

 は、ホンダがこれまでに計5560億円、トヨタ自動車も5700億円を計上し

 ている。ただ、各社ともリコール費用は引当金をすでに計上しているた

 め、業績への影響は限定的としている。

 

少なくとも自らの責任がないと考えている会社であれば その損失を既に

引当ていて業績に関係がないと言うはずがなかろう。(逆にそんなことを

すれば株主から代表訴訟を起こされかねない)また それをすかさず発表

することも無い。タカタのエアバック問題と報道させておきながら 実は自

らにも責任が有ったとして、少なくともお金の面で責任は取るという形に

小生の目には映るのだが。(民事再生をタカタが申請した以上取り立ては

不可能なのだが こう手回しが良いと タカタが法的処置を取るを待ってい

たとも言えるのは??)

 

 自動車メーカーの姿勢に疑問を感じるし マスコミの報道姿勢にも。。

 

もう一つ、先月 日経に出ていた記事がある。

  (これは上記専門家の意見とは異なるのだが。)

 

 タカタの巨大リコール 「教訓」置き去り

 

 詳しくは記事を読んでいただきたいが、重要部分を引用すると

 

   日本火薬学会の自動車用安全部品専門部会の堀恵一部会長は「一般的

  に火薬の経年劣化は燃焼速度が遅くなる。今回のリコールは逆で、燃焼

  速度が異常に上がって破裂に至っている。開発時には火薬の専門家でも

  予見し得なかっただろう」とみる。日米当局や自動車メーカーに火薬の

  化学反応に詳しい人材はほとんどおらず、特殊性が被害を拡大した面も

  ある。

 

と この部分は小生非常に気にかかる。この意見が正しければ 当初予見し得

なかったであろう問題でタカタは倒産の憂き目にあったと言事になるからである。

 

  米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は16年5月、研究機関の調査

 結果を踏まえ、「硝酸アンモニウムを乾燥剤をつけずに使用」「高温多湿下

 の環境に長期間さらす」「湿気を防ぐ装置が適切に組み立てられていない」

 などの条件が複雑に絡み合い、異常破裂が起きる可能性があると発表した。

 高温多湿の地では製造から6年、寒冷地では25年程度で破裂のリスクが高ま

 るとした。

 

かなり複雑な要因が絡んだ結果であるとアメリカ政府も結論づけている。

結局 問題の本質は この記事の締めくくりに有るのかもしれない。

記事ではこう締めくくっていた。

 

 タカタ1社の問題ではなく、日本の自動車業界全体の安全への姿勢

 も問われている。

 

まさにその通りなのだ。タカタのみの責任ではなく 自動車業界全体の責任として

この問題を考えないと 第二第三の「タカタ」が出てくるのでは??と警鐘を鳴らす

責任がマスコミには有るのだが、それを積極的に報道するマスコミが少ないのは

非常に残念である。

 

 余談であるが 

  「エアバック」今の自動車に装備されているエアバックの基本的な考えは

  実は日本人の発明だそうだ。小堀保三郎氏が1963年に考案したエアバッグ

  関連の特許取得は世界14カ国に及ぶそうだ。しかし「火薬を使用して袋を

  膨らまし人体を守る」と言う考えの前提である「火薬を使用」(それ以外

  の方法は未だにない)の部分が当時の日本の消防法に抵触し 当時として

  はあまりに奇抜な発想だったため、発表の場では、日本人の関係者からは

  失笑を買い相手にされることはなかった。小さな民間企業の力では消防法

  を変えることも出来ず、特許が間もなく切れる1975年に小堀保三郎氏は妻

  とともに自殺している。

  (その後1983年にドイツのMercedes-Benzが初めて市販車に搭載。)

 

改めて 小堀保三郎氏とその奥様 そしてタカタのエアバックにより死亡され

た方々のご冥福をお祈りいたします。