スカイマークエアラインが民事再生を申請した。ニュースでも大きく
取り上げられている。既に 準大手の規模に成長していただけに残念な
ニュースでもある。
スカイマークエアラインは エイチ・アイ・エスの澤田社長らの出資
で1996年に設立された。日本国内定期航空運送事業の新規参入は1963年
依頼35年ぶりであった。当初は大手航空会社に比較して安い運賃で好調
であったが 大手航空会社が割引運賃で対抗してからは業績は低迷した。
有る意味設立間際から日本の航空行政に左右される運命に有ったようだ。
その後2003年に、インターネットサービスプロバイダ のゼロ株式会社
会長・西久保愼一が増資を引き受け、2004年に同社がスカイマークと合
併し社長に就任した。西久保社長はゼロ株式会社のISP事業は合併とほぼ
同時期にGMOインターネットへ売却 西久保氏は退路を断って航空会社
の経営にその全てを掛けたことになる
2005年には運航トラブルが続発し、経営状態はさらに悪化したがその後、
最新鋭機ボーイング737-800への機材更新や、整備・運航・サービス体制
の全社的かつ抜本的見直しなどにより業績は回復。2008年3月期には黒字
を確保し、以降、事業拡大へ進んでいるかに見えた。しかしそのころから
世界的にはLCCが台頭し 日本国内でも2011年にANAが国内初となる
LCC ピーチアビエーションを設立すぐさまJALがジェットスターを
設立する等 航空行政はそれまでの体制を変えてしまった。既に 準大手
の規模(2014年段階での運用は 下図の通り)
であるスカイマークは 大手とLCCとの間に挟まれ打つ手が無くなった
のであるが 航空会社の経営に全てを掛ける西久保社長は 次の手を打つ
1 それまでの737主力の体制から 大型機A330への機種変更
2 国際線への進出 それに伴う超大型機A380の発注
3 機内サービスの向上? キャビンアテンダントのミニスカート
(3つ目が 起死回生になるとは 当人も考えていなかったと考えたいが)
しかしこれらが裏目に出た 特にA380に関しては各種報道でも周知の通り
その支払いすらできず キャンセルするも違約金お支払いを要求されこれが
最後の息の根を止めたようだ。
只、末期の状況を見ていると業界の異端児であったスカイマーク故であろ
うか それとも何か思惑があるのか 国土交通省を主体とする行政側はかな
り冷たかったように小生には見えた。
スカイマークが経営悪化した2014年10月時点での路線は次のようである
2014年10月 現在
直行便
東京/羽田 - 札幌/新千歳、神戸、福岡、鹿児島、那覇
神戸 - 札幌/新千歳、仙台、茨城、米子、長崎、鹿児島、那覇
名古屋/中部 - 札幌/新千歳、那覇
札幌/新千歳 - 仙台、茨城、福岡、那覇(季節便 1月29日~3月28日運航予定)
福岡 - 仙台、茨城、那覇
那覇 - 米子、宮古、石垣
2014年12月19日にA380契約解除問題による収益悪化による資金難の
ため2015年に米子空港からは撤退、札幌/新千歳 - 仙台線は休止予定
経由便
※ ()内は経由地を示す。
東京/羽田 - (神戸) - 長崎
東京/羽田 - (那覇) - 石垣
茨城 - (神戸) - 米子
茨城 - (神戸) - 那覇
これを見て分かるように やはり主力は羽田空港であるがサブ空港として
神戸を活用していたのが分かるであろう。そしてその神戸こそがLCCの
ピーチと競合する路線であるのだ(ピーチは関西空港がベース)。
経営が悪化したスカイマークは当然競合するピーチすなわちANAへ救い
の手を求めるはずが無く JALに希望を託そうとした。
実はJAL 羽田空港の発着枠では先般の国際線新規枠配分で不利な扱
いを受け 国内線もANAグループが約50% JALグループが42%
となっていたのだが その残りの8%をスカイマークが保有していること
もあり お互いに利害が一致するところであったのだが そこに再び立ち
はだかったのが国土交通省と政権与党であった。
曰く 民事再生後税制面で優遇を受けているJALが救済するのは?
と言うものなのであるが 法律を違反していない会社への仕打ちとしては
小生は如何な物かと考えています。(来年度予算案でその優遇処置は無く
なる見込み)
前にも書きましたが JAL救済は民主党政権で唯一の成功例かも知れ
ず 稲森氏を連れてきたのが小沢一郎氏というのが現与党にはどうも嫌悪
感があるようですが それを実際の行政の持ち込むのは明らかに誤りです。
結局 支援案が纏まるまで スカイマークは持ちませんでした。小生的
には 航空界で3つ目の柱をとの国土交通省の思惑で認可され 上記の様
な国土交通省の心変わりでつぶされたような気がしてなりません。確かに
西久保社長のような強烈な構成が無ければ 大手寡占状態の航空界に風穴
を明けることは難しいでしょうが それを支える行政が必要です。それは
あくまでも消費者たる一般市民の利益にだけつながる様にであり 管轄省
の省益を目的とする物では決してありません。
再生途上の税制優遇もない状態でスカイマークは再生の道を歩まざるをえ
ませんが 果たして再び舞い上がることは出来るのでしょうか??
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