アメリカ映画界に米軍は寛容であるそうだ。
例えば古い映画であるが トップガン なんて映画
を撮る際には俳優達を実際の戦闘機に乗せて実
体験をさせるらしい。(その実際の迫力を感じるか
どうかで演技も変わると 小生も思う)
但し、その際に軍側からは条件が付くらしい。
俳優達にビニール袋と替えのパンツを持参させる事
である。必ず下へ上へと体内の物は吐き出すそうで
ある。それほどまで戦闘機の加速感 逆G感は凄ま
じい物なのである。
高いGによりパイロット達でさえ意識が飛ぶブラック
アウトと呼ばれる現象まで有りうるので彼らは、
「耐Gスーツ(或いは単にGスーツ)」
と呼ばれる特殊服を着用している。
(因みにGにはプラスGとマイナスGがあるが、
ブラックアウトはプラスGにて起こり、レッドア
ウトはマイナスGで起こる。ブラックアウトは血
液がプラスGによって下肢に移動し、脳に十分
な酸素供給ができなくなって貧血のように失神
する状態を言う。
レッドアウトとは、-Gがパイロットにかかった際、
血液が眼球内の血管に集中し、視野が赤くな
る症状を指す。航空機の構造上、プラスGの方
が大きく、また発生する頻度、時間も多いので、
結果、戦闘機によるドッグファイトでは、ブラック
アウトの対策が重要となっている。)
Gスーツの構造は下半身を締め付けることで脳の虚血
状態を防止するという方法である。ズボン状の浮き輪
(あるいは救命胴衣)みたいな物である。スーツは搭乗
時に操縦席にあるコネクタへホースで接続される。過剰
なGがパイロットに掛かると自動的に圧搾空気がスーツ
内に送り込まれ、下半身を圧迫し、血液の降下を軽減す
る。近年では従来のスーツに加えてベストやヘルメットに
も同様の機能を付け、下半身だけでなく上半身や頭部も
圧迫するようにしたコンバットエッジというものも登場して
おり、耐G能力をさらに向上させている。
さて上にも記載したベストであるが、潜在的欠陥が今米軍
で問題になっている。
米空軍では1年ほど前から、ロッキード・マーチンが製造
する戦闘機「F22ラプター」で飛行するパイロットがめまい
や方向感覚の混乱を訴えるという事例が発生しているの
だがその原因が 圧力ベストに有ると言うのだ。
があるという。
F-22ラプターは先にも書いたように航空自衛隊も導入
を検討していた最新鋭のステルス戦闘機である。
そのパイロット達に異常が発生するというのであるから
問題は深刻である。空軍はF22のパイロットに発生する体
調不良の原因を究明するため、ホース、マスク、耐Gスーツ
などの一般的な装備から、機体のステルス性能を上げるた
めの塗装や粘着剤といったトップシークレットに至るまで、
あらゆる面から調査を進めているのだがここへ来て海軍の
潜水部門が調査に協力して圧力ベストを試験した結果、
「欠陥率が極めて高い」ことが分かったという。
国防総省は188機のF22の購入に670億ドルを費やした
が、戦闘では一度も使われていない。そして現在、イラク
とアフガニスタンでの10年に及ぶ戦争を経て国防予算の
削減が進められているにもかかわらず、F22については
更新費用117億ドルを支出する計画だ。
ある上院議員は F-22の事を
「今までで最も高価なさびついたハンガークイーン
(格納庫の女王)」と批判している。
このまま この問題が解決できないと 本当に飛ぶことの
出来ない戦闘機になってしまうのでは?
やはり有人の戦闘機はもはやその乗員の限界を超え
つつ有るようだ。No245でも書いたがこれからは無人機
になっていくかも知れない。
最終的に航空自衛隊が導入を決定したF-35が日本でも
最後の有人戦闘機になるかも知れない。